重度の脳性まひで、車椅子生活。自力で着替えはおろか、排泄もままならず、お金を財布から取り出すことも出来ない。
そんな身でありながら、香港やハワイへ一人旅した著者の体験記。
一読して、「ああ、正直だな」と思う。
「五体不満足」の乙武くんは、排泄に関しては確か1行さらりと書いただけだった。でもこういう人たちにとって一番の問題は排泄のはず。
子供の頃から、がまんすることで、長時間持つようになり、さらに今どれだけ膀胱内に尿がたまっているのか、どれだけ持つか、といった判断が涙ぐましい。
尿に関しては辛うじて手助けなしでもやれるものの、大便に関しては手助けが必要で、そのために、手助けがあるときだけ排泄できるように我慢する習慣まで身につけている。
そういう状態でありながら、海外へ一人旅。さまざまな人々が助けてくれるわけだが、彼のように素直には感動することができない。
他人に親切にすることは快感をもたらす。それは、ある意味、自分はなんて優しい人間なんだろうという自己満足をもたらすからだ。
対象が重度の障害者であれば、必ずや自分の親切はありがたがられるだろうから、これほど満足のいく対象はない。

著者は正直に恋愛に対するあこがれを書いてるが、女性ボランティアにとって彼らは「恋愛の対象ではなく可哀想な障害者の人でしかない。性別はなく、車イスの障害者の人なのだ」
「脳性マヒ者の、その独特の醜さは、愛される対象にはならない」
そう書きながら、彼は自分を無理に鼓舞しているように思える。
でも、雑誌によれば著者は結婚することになったと言う。すばらしい相手に巡り会えたのだな、と嬉しくなる。

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