村上作品で最初に読んだのが、これです。 河合隼雄氏がその著書でコメントしていた「羊をめぐる冒険」を探し求めてみつからず、その続編になるこの作品を買って帰りました。結果的にこれを最初に読んだのが、村上作品にのめりこむ端緒になりました。「羊をめぐる冒険」が最初だとそれ以降も村上作品を読んだかどうか。「羊をめぐる冒険」はまだ現実に即しておりストーリー展開も他の作品と比べると突飛というわけでもありませんが、この作品は半分は幻想であり、こんなのあり? と思うほど、ストーリー展開も従来私が読んできた小説と比べて反則的な手法を使っています。 反則的な手法というのは、落ち着くべきところでないにもかかわらず、読者をだまくらかして終わらせている結末に、特に感じるのですが、決してけなしているわけではなく、それどころか、私はこの作品を読んでかなりの快感を抱いたものです。 刷数を重ねているところを見ると、多くの人の支持を受けていることは明白ですが、じゃあ、この作品の要旨を説明してみろ、と言われれば、ほとんどの人が説明できないのではないでしょうか。 私の解釈では、これは単なる恋愛小説であり、自信を失った主人公が遠回りしながら、ようやく自分にぴったりの相手に求愛するという話です。 じゃあ、羊男はいったい何のために存在し、主人公と他の人々を繋ぎ合わせるのか、美少女ユキの存在理由は何なのか、主人公の友人で映画俳優の五反田君はなぜ娼婦キキを絞殺したのか、こういう人々との交流で、なぜ主人公は自分を回復していくのか、そもそも主人公は運命の流れを待ち、それに乗っただけであり、上手に踊ったと言えるのか、などなど、疑問だらけなのですが、不思議に納得してしまう、それが村上作品の妙とも言えます。 物語というのは、夢のように、ある意味脈絡を欠いたところがありながら、集合無意識部分を刺激して、読者を引き込んでいきます。 |