ネット上で擬似的な家族を構成していたメンバーの「お父さん」が殺され、実際の家族と疑似家族が警察に呼び出されて、取り調べを受けます。
一幕ものの劇という感じで、登場人物の言葉のやりとり、心理描写が主体になります。作者があとがきで書いているように、ミステリーとしてはルール違反のところがありますが、納得させられるラストです。
直木賞を受賞した「理由」にも擬似的な家族が登場していましたが、今回はそれをネット上に構築したところが目新しく、興味をひかれます。ミステリーではなく、ネット上の疑似家族の交流に焦点をあてても良かったかもしれません。
それにしても、宮部みゆきさんの心理描写というのは、普通では考えにくい角度から捉えたものが多いです。この作品でも、ある刑事が家族の一人の立場から事件を考えることで、推理が始まるわけで、現実にこのような物の見方が出来る刑事がいれば、すばらしいだろうな、と思わせられます。

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