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まじめな流れ星


 とってもまじめな流れ星がいました。
 人間たちに願いごとを三回しっかりとなえられると、必ずそれをかなえてあげたのです。
「ばかだなあ。そんなの人間が勝手に作った話なんだから、俺たちが守る必要なんてないだろうに」
 仲間はそう言うものの、まじめな流れ星はまじめすぎて、どうしてもかなえてあげなくちゃと思ってしまうのです。
 それでも、人間の願いごとをかなえるのは大変ですから、いつもはさっと流れるようにしています。
 ところが、その日はちょっと考えごとをしていたせいか、ついうっかりゆっくりと流れてしまったのです。
 その日、幸運なことに、三人の人間が三回願いごとをとなえることができました。
 まじめな流れ星は、それをしっかり耳にしました。
「しまったなあ」
 そう思ったものの、まじめですから、かなえてあげるしかありません。
最初は高校生の男の子の「お金がほしい」という願いです。
 流れ星は人間の姿になって、いっしょうけんめい働きました。
 流れ星はからだがじょうぶで、夜も寝る必要がありませんから、いくらでも仕事ができます。
 男の子がほしいだけのお金はすぐにたまりました。
うまく理由をつけて、そのお金を男の子にわたすことができました。
 どうせ、むだづかいするんだろうな。
 流れ星はそう思いました。以前もそうやってお金あげたら、遊びほうけた男の人がいたのです。
 ところが、その男の子は違いました。
「これで大学に行くことができる」
 男の子は必死になって勉強を始めたのです。
 お金がなくて大学に行くことをあきらめていたのに、それがかなうことになって目が輝いていました。
 それを見て、流れ星は嬉しく思いました。
 次は「お母さんの病気をなおしてほしい」と願った小学生の女の子です。
 その子のお母さんの病気はひじょうにめずらしいもので、今の医学ではなおる見込みがないものでした。
 流れ星は、医学の勉強を始めました。眠る必要がないのでいくらでも本が読めます。流れ星ですから、世界中の学者たちのところにもすぐに飛んでいって話が聞けます。
 そうやって、ついに流れ星はその病気のなおし方を見つけたのです。
 それを紙に書いて、女の子のお母さんが入院している病院のお医者さんの机の上にこっそりとおきました。
 お医者さんは、それを読んでおどろきました。
「なおし方がみつかったよ。これでお母さんは必ず良くなる」
 お医者さんは女の子に言いました。
女の子は顔をくしゃくしゃにしてお医者さんにだきつきました。
 それを見て、流れ星はまた嬉しくなりました。
 最後は、若い女性の「すてきな男の人と結婚できますように」という願いでした。
 まずはその女性がどんな男性を好きなのか調べなければなりません。
 流れ星はその女性と偶然のように会って、しばらく話をしました。でも、すぐに好きなタイプなど聞けませんから、それから何度も会うようになったのです。
 そのうち、流れ星はその女性と会って話すことが楽しくなってきました。その女性が流れ星を見る目も、変わってきました。
「あなたって、まじめなのに、どこか普通の人と違う不思議なところがあるわ。ほんとにすてき」
 流れ星は胸がどきんとしました。あわてて、つい本当のことを言ってしまいました。
「ぼ、ぼくは人間じゃない。夜空を流れる、流れ星なんだ」
 女性はしばらく流れ星の顔を見つめたあと、ぷっとふきだしました。
「あなたって、じょうだんも言えるのね」
 流れ星も、つい笑ってしまいました。
 しょうがないか。ぼくが、ほんとにすてきな男性かどうかわからないけど、どうやらこの人はそう思っているらしいし。
 それから二人は結婚し、男の子と女の子が生まれました。
 流れ星は幸せでした。まるで自分が願いごとをかなえてもらったような気持ちです。
 たまに流れ星だったころの話をすると、奥さんや子どもたちは笑いだします。何だか自分でもそれがじょうだんのように思えてくるのでした。

この作品の著作権は、公募ガイド社に帰属します。

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