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アコースティックギターを作ろう


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動機


 ハンドクラフトの中でも楽器製作は特別な分野であると私は感じています。
理由は正確な音程を実現するために高い工作精度が求められる上、音質という極めて抽象的な
概念を相手にしなければならないからです。もちろん外観の美しさも可能な限り追求しなけれ
ばなりません。 論理的に、かつエモーショナルに(?)という二つの次元からのアプローチが求
められるのです。それだけに挑戦しがいのある分野なのですが、良材の調達と正確な加工が求
められるため、全くのゼロから楽器を製作するのはアマチュアにははかなり困難といえるので
はないでしょうか。
 そこで利用したいのがキットです。基本加工のすんだ良品質の材料とわかりやすい組立説明
書の付いたキットがあれば前述の困難なプロセスは大幅に省略されることでしょう。幸いにも
インターネットで楽器のキット専門店を見つけた私は前回のウクレレに続き、今度は長年のあ
こがれだったアコースティック・ギターの製作に挑戦してみました。



準備するもの

通販を利用して準備するもの(取り扱い:
工房ミネハラ


・キット本体
・キットオプションパーツ(詳細後述)
・接着剤
・塗装用品

工作に必要な工具類

・クランプ、洗濯ばさみ、ルータ、小刀
 ねじ回し、ドリル、サンディングブロック
 サンドペーパー(白っぽいタイプをおすすめします)
 耐水ペーパー

作るべき治具
・ロングファイル
・丸クランプ
・ブリッジクランプ(予定)

その他
・工作のリファレンスとなりうるギター
(逆説的ですがよい見本が必要なのです)


キットの内容ついて


 今回製作に取り組んだのは米国Musicmaker's社のドレッドノート型アコースティックギター
キット「MM Dreadnought Guitar」です。本キットはXブレイシング採用の本格的なマーティン
タイプのギターです。部材は基本加工が済んでおり、難しいブレイス材の取付も部品配置が響
板にマークされておりなかなか親切な設計です。
 ネックやサイドはウォールナットの無垢材。バックはウォールナット合板、トップはスプル
ース合板です。トップとバックがなぜ合板なのかは製作マニュアルの中で記述があります。確
実な組み立てのためにはトラブルの多い単板より合板が有利であると記されています。本製品
に使用されているスプルース合板はシトカ・スプルースの3層構造でありjunk coreは使われて
いないことも特記しています。同社は合板は敬遠されがちであることを認識し、この部材を採
用するにいたった経緯を丁寧に説明することによって無用な誤解を避けようとしています。
 おそらくこのキットのコンセプトはどんな地域にすむ人にも確実にキットを作り上げてもら
うことを目標にしているのでしょう。ユーザーはアラスカやカナダやハワイに住んでいるのか
もしれません。高温や乾燥の中にあってもひび割れやそりを起こさない plywoodは確実な素材
なのです。
 ネックとボディのジョイントもダブテイルではなくほぞとボルトオンの組み合わせであるこ
とも前述の設計思想に基づくものでしょう。

表板をアップで撮影


このキットは工房ミネハラ取り扱いキットのなかで、フルサイズドレッドノートタイプとして
最も組み立てやすいキットですがMusicmaker's社のカタログでは5つ旗(工作難度が高い)の
表示があるとおり、きちんとした手順での作成を要求されます。


キットの手配をする前に


 キットにはギターとして音を出すまでのすべての部材が含まれていますが、装飾部品はオプ
ションになります。最低でもロゼッタ(サウンドホール回りの飾り)、ピックガード、ポジシ
ョンマークはキットと同時に手配したほうがよいでしょう。また、塗装に関しても専用のシー
ラー・ラッカーセットがミネハラにありますのでこれも同時に購入をお勧めします。
(ボディ回りの飾りをしたい方はバインディング材も同時に手配が良いです)

そうそう、タイトボンドは絶対にお勧めです。名前だけはいろいろなWEBサイトで見ていたので
すが乾燥も早く使い勝手も最高です。マーティン社でもギター製作に使っているようです。


これがタイトボンド

これらがオプションです



製作開始(参考として実際に作業した日時も付記してます)
7/1(金曜日)到着
ロゼッタの取り付け、一晩乾燥させます。このロゼッタは円盤上の一部が欠けているのですが説明書によると指板によって覆い隠されるので問題ないとのことです。
このロゼッタは寄せ木細工風の手の込んだ物です。腕に自身のある方は銘木の突板などで自作してみるのもおもしろいでしょう。タカミネのギターなどが参考になると思います。







7/2 ブレイス(力木)取り付け(裏板)
裏板には4本のブレイスを取り付けますが、上のブレイス2本はRがついているので平面で作業しないこと。
余分なタイトボンドは雑巾でふき取りましたが、そのまま乾燥させてノミで切り取ったほうがよいようです。ちなみにボンドの適量とは圧着したときにボンドが少しはみ出るくらいの分量です。










トップのブレイス取付は重しを乗せる方法で行いました。作業場所は完全な平面が出ている必要があります。私の家の中では応接テーブルが該当しましたので1週間占領しました。重しには17インチモニターも参加しています。
ブレイス材の取付は1日に2本ずつのスローペースで行いました。乾燥に十分時間をかけたかったからです。










作業のあいまをみてネック材の荒削りをします。ネックは基本形は出来ていますが、自分の好みに合うようにシェイプを整えます。








7/10 側板をテールブロックに張り合わせ、側板をヒールブロックに張り合わせます
ねじれや、両サイドの接合面に隙間ができないよう注意します。











作業用のフラットボードを作成します。サイズは表板よりすこし大きめに作ります。
この上で側板の張り合わせや裏板の張り合わせ作業を行います。フラットボード上には表板のアウトラインを赤鉛筆で書き込みます。側板はこのアウトラインより外に出てはいけません。








ヒールとテールのブロック間にクランピング棒を木ねじで固定します。これにより型くずれを防ぐわけです。ワークボードにセンターラインを引き、そのライン上に左右の側板の接合面がきちんと揃うように位置決めした後、フラットボードの裏側から長い木ねじを使ってクランピング棒とボード間をねじ止めします。







ブロックを付け終えた側板全体がフラットボード上に赤鉛筆で書いたラインの2mm内側にきているかチェックします。私の場合かなりずれがありました。特に胴のくびれた部分が広がっておりこのままでは表板や裏板との張り合わせは困難ですのでウェスト部分を絞る工夫が必要です。









フラットボード作成したときののこりの部材で簡易型枠を作りました。 本当はボディ全周を囲む形で作りたかったのですが部材が少ないため一部欠けた格好になっています。











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