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サンシンを作ろう


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動機


 私は沖縄に住んでいるのですが、この島の伝統楽器であるサンシンを今回の製作テーマに
選んでみました。
 サンシンを本格的に作ろうとすると製作上で大きな問題になるのがその素材です。まず棹で
すが、本物は黒檀や紫檀などの硬木でできています。これらは加工上も問題ですしなにより
高価で入手もまた難しいという現実があります。 もうひとつ、サンシンにはニシキヘビ皮が使わ
れていますが、これも加工・入手の両面が問題となります。
 実は当地沖縄では前述の問題を回避して簡単にサンシンを作る手法があります。それは
もともと太平洋戦争末期から終戦直後の物資のない時代になんとかサンシンを入手したいと
いう希望からあみだされた「カンカラサンシン」という簡易サンシンを作ることなのです。
 カンカラサンシンとは胴を空き缶でつくり、棹を普通の棒を削ってつくるという極めて簡単な製
作プロセスゆえに今日では学校での工作課題として取り上げられるほどポピュラーな存在に
なっています。現地のホームセンターではカンカラサンシン作りに必要な素材をキットとして提供
されています。
 自分もカンカラサンシンを作ってみましたが、簡単に作れますので楽器製作入門としては最適
の素材のひとつであると感じました。しかしながら実際に演奏してみると若干の問題を感じない
わけにはいきません。簡易的すぎるゆえにプレイヤビリティ(演奏性)に難があるのです。
 演奏性の問題点の理由ですが棹の形状があまりにも簡略されているため本物のサンシンと
勘所(弦を押さえるポイント)が微妙に異なるのです。

 そのような問題点を踏まえ、今回の製作では極力本物のサンシンに形状を近づけることを目
標にしました。また、ボディが木でできていたらどんな音がするのか興味があったのでボディは木で
製作することにしました。(この時点でもはやカンカラ=空き缶 サンシンとは呼べないので、
「サンシンを作ろう」というタイトルになっていますが本物を作るわけではありません)






準備するもの


・棹用の木 (ラワン材の板)、ボディ製作用に3mmベニア
・サンシン用の 弦、馬、糸掛(写真参照)
・接着剤
・塗装用品

工作に必要な工具類

・クランプ、洗濯ばさみ、小刀
 ねじ回し、ドリル、サンディングブロック
 サンドペーパー(白っぽいタイプをおすすめします)
 耐水ペーパー

あると便利な治具
・丸クランプ


その他
・工作のリファレンスとなりうるサンシン(実物を見ながら作るのが一番楽です)
・そのサンシンのシルエットを写し取った型紙(ボール紙もしくは3mmベニアへ)



材料について


 サンシン作りで問題となるのは棹です。(ギターでいうところのネック)
本物と同じように作るにはかなり太い角材から削りださないといけません。
今回は1cm程度の板を張り合わせて太い部材にしていくという集成材的
アプローチをとりました。
 素材のラワンですがラワンとは数種類の樹種の総称です。したがって硬い
木もやわらかい木もありますがなるべく硬い木を選んでください。







板を接着剤で張り合わせ


木工用ボンド、もしくはタイトボンドで張り合わせます。
ポイントはクランプを使い圧着させること。













天の部分は4〜5枚張り合わせ


 天とはギターでいうヘッドの部分です。この部分は美しく
アーチを描きますのでそれなりの厚みが必要です。また曲
線をのこぎりで切り出すためには写真のように切れ目をた
くさん入れておく必要があります。
もちろんのこぎりを入れる前に型紙でラインを引くことを忘
れずに!





全体の削りだしが半分ほど終わったところ 
このプロセスが一番労力を使うと思いますがゆっくり作業を
すすめましょう。あせるのは禁物です。
(特に削りすぎには注意しましょう)













 削りだしを進めていくとこんな感じになります。
切り出し小刀を使ってじっくり形を整えましょう。



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